我が闘争(抄訳)
『我が闘争(抄訳)』の全文我が東方政策
断じて世界的強固たれ
次に対外政策に就て考える。
若し対外政策なるものが、或る一国が世界の他の部分に於てその国を善処して行くという意味のものであるなれば、私はナチ党の対外政策を次のように決論する。
我がナチ党の理想とする民族国家の対外政策は、自国民族の人口と、その増加率と国土の大きさ及びそれの質との間に、永続的な、健全な、且つ直接的な相関関係を樹立することに依って、自国民族の存在を保護する点にかかっていると断言する。
したがってドイツ民族は、ドイツなる民族国家の質質的部分を形成する土地に居住しない限り、健全な相関関係を持ち得ないものと考うべきである。仮に新しい領土を得たとしても、その領土が完全にドイツ国家の一部分となり得ない限り、如上の健全な相関関係とは云い得ないのである。この対外政策を堅持し、且つ之を強行して行くためには、即ちドイツ民族を完全に保護して行くためには、何よりも先ず、ドイツが世界的な強固とならねばならぬ。弱小国では絶対に安心は得られない。
然るに今日のドイツは如何?それは決して世界的強固ではあり得ない。世界は今や別個の大国に分割されようとしている。中には英国の如く世界の到る処にその領土を有する国家もある。僅か五十萬平方キロの面積しか持たぬ。しかもその国内にまだ幾多の不統一を有する現在のドイツを以て、強固だなどと思ったり云ったりすることは、寧ろ笑い草と云わなければなるまい。三つの貴重な戦利品
しかし過去は既に過去である。
我々ナチ党が為さねばならぬことは、嘗てドイツの指導者が採り来った、対外政策や植民政策への無目的無方策に対して、敢然と戦いを挑むことでしかない。即ち我々は今より以上に強固な団結力を以てドイツ国民を強化し、彼等を新しい領土を獲得し得る方向へ導き、ドイツをして狭小なる奴隷国に終る危険から救い出さなければならないのである。我々はドイツの大人口に対する極めて狭小な国土しか与えられていないという不均等を何としても打破し、優秀なるドイツ民族に与えられたあらゆる義務を履行する責任を感ずるものである。
ドイツ人は何れの国の民族よりも勇敢であると信じてよい。ドイツの歴史は、他民族の圧迫や侵略から、ドイツ人とその祖国を護るために、他の如何なる民族よりも多くの血を流して来たことを物語っている。にも拘わらず、現在のような悲しむべき状態が我々に与えられているというのは、明らかにその血を流す目標が誤っていたことを示すものである。
この無駄に流された血の海から、我々は三つだけ、貴重な戦利品を拾い上げることが出来る。
一、 主としてバヴアリア人に依って行われたところのオーストリア植民。
二、 エルベ河以東の地の征服。
三、 来るべきドイツ帝国の母体となるプロシヤ国の成立。
前二項は、ドイツが行った必要な土地を獲得した中の代表的なものであり、第三項はドイツ人の血の純潔を守るための王城であったからだ。