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我が闘争(抄訳)


『我が闘争(抄訳)』の全文

恐るべき反戦運動

更に私を苛立たせたのは、マルクス主義に対する当局の態度であった。ユダヤ的でないすべてのものを破壊することを唯一の目的としているこの主義は、ドイツの労働者階級の中にも深く食い込んでいた。しかし1914年この大戦が勃発して、労働者がその燃えるような祖国愛から、ハイルを叫びつつドイツのために立上った時には、流石のマルクス主義者共も顔色を変えて震え上がったのである。そのままで居ることは自分達の絶滅に遭遇するものであることを悟った彼等は、マルクス主義を放棄して、彼等も亦ドイツのために戦う、という態度を示したのである。之は彼等一流の欺瞞に満ちたものである。且つその欺瞞は実に巧みなものであった。

この欺瞞にまんまと引っ掛かったのはカイゼルであり、ビスマルクであった。忠良なるドイツ人が前線で敵弾に倒れねばならなかった時、同時に国内に於ける之等のバチルスも根絶するべきであった。しかるにカイゼルは之等の悪魔共を(多分はうまく利用するつもりであったろうが)提携の相手に選んだのである。しかし結局、国民は憎むべきマルクス主義共の思ひの儘に料理されることになってしまったのだ。

世界観の相違から来る闘争は、それが激しければ激しい程、強烈な攻撃戦法を採らなければ、絶対に勝利を得ることは出来ない。この場合の攻撃戦法は、無慈悲で残酷過ぎる程の力と武器とでなければ、到底相手を倒すことは出来ないのである。この鉄則を、鉄血宰相ビスマルクは残念なことに知らなかった。彼はマルクス主義を倒すべきことは知っていたが、それを為すための方法を見失っていたのである。

彼はこの闘争に自らの強力な手を下さずに、ブルジョア階級に委ねたのである。ブルジョアとは何者であるか。マルクス主義者がプロレタリアばかりだと思ったら飛んでもない間違いである。ユダヤ人が、世界経済の上に抜くべからざる力を持っていることを知っている者には、このビスマルクの失敗は容易に了解出来る筈だ。とまれ勢いを盛り返した彼等は、得たと賢しとばかり、巧妙な方法を以て、怖るべき反戦運動の火の手を挙げ始めたのである。このことを知れば知るだけ、彼等に対する私の憎悪は大きくなった。

私は今迄の私の態度を一擲しなければならぬ時に立っていることを知るに至った。彼らは是非共倒されねばならぬ。そのためには、私は従来の方針を捨てて、積極的に政治問題で活動を開始しなければならぬ。戦争が終わったら――そして私が無事に生き永らえたら――。

政治問題を研究するものにとって、最も煩わしく且つ迷わされるものは宣伝である。特に陰謀的宣伝は我慢のならないものであるが、マルクス主義者はこの武器をすっかり自己薬籠中のものとして巧みに利用していた。

大戦中には、実に無数の出来事があり、その中には信じ得べからざる意外の出来事もあったが、それは殆んど大部分宣伝の結果であった。私はしみじみと宣伝の強い力を体感したのである。

戦争中は物を考える時間が有り余る程ある。この間隙を巧みに突いたのが敵の宣伝であった。ドイツの指導者達は、この問題に対してはてんで無関心であったが、その代り私は敵から宣伝なるものに就て実に多くの知識を得ることが出来た。

之は一例に過ぎぬが、イギリス人やアメリカ人は、ドイツ国民を匈奴のような野蛮で獰猛な国民であると宣伝して、自国の将兵に充分なる戦争の用意をさせた。ところがドイツでは、全然之と反対であった。我々は我々の敵が何れも滑稽な程臆病者で弱虫であることのみを教えられていた。だから、敵はドイツ軍の勇敢さと優秀な武器とによって、バタバタ倒される戦友を見る毎に、猛然たる敵愾心を湧き上らせたが、ドイツ兵は弱虫であるべき敵が、案に相違して中々頑強であることに先ず驚かされた。我々は格別これがために恐怖状態に陥ることはなかったが、漸次勇気を挫かれて行ったことは覆い難い事実である。全てのドイツ兵は、新聞なんかもう当てにはならないと思い始めた。それにつれて、戦争そのものの理由をすら疑い始めるものが生れて来たのである。

「宣伝」に就ては充分私は考えた。そして要約すれば次の諸点に特に力を入れるべきであることを知るに至った。

一、宣伝は永久に一般大衆に対してのみ行うべきである。宣伝の目的は、個人を科学的に訓練することではなくして、大衆を斯うと思う方向へ導くがためのものだからである。

二、大衆は忘れっぽいし、その理解力もまた極めて少ない。だから宣伝に於ては、特に重要なもの二三だけを厳選して、どんな愚な人間にも徹底するまで、根気よく繰返さなければならない。

三、自己の宣伝に於て、どんな僅少な部分にしろ、相手の正義を認めては負けである。そのことは意外に大きな疑惑を自己の立場に起させるからだ。敵を容赦なく責め立てよ。宣伝に於ては、理性よりも感情を狙わなければ嘘だ。愛か憎しみか、正か邪か、真か偽かが必要なだけだ。

大戦中に於ける敵の宣伝は、正にこの法則を踏んでいた。敵は僅かに二三の項目だけを取り上げて常に我々に宣伝の矢を放って来た。五月蠅い程繰り返された。始めの内は我々は鼻であしらっていたが、次には不愉快な気持にされるようになった。そして最後には遂にこれらが信じられるようになってしまったのである。

この宣伝が開始されてから四年半経過した。その間敵は実に根気よく繰り返した。そして四ヶ年半の後には果然これが奏効して、到頭ドイツ国内に革命の烽火が上げられるに至ったのである。要するに敵はこの点に於て圧倒的に勝利を獲得した。この間に処してドイツ側はどんな宣伝をしていたか。答えは結果が語っている。効果ある宣伝は全くゼロであったのだ。


  • 『いわゆるヒトラー一派のガス室といわゆるユダヤ人の虐殺は、同一の歴史的嘘である。この嘘のおかげで、非常に大きな政治的・金銭的詐欺行為が容認され、そのおもな受益者はイスラエル国家と国際シオニズムであり、そのおもな犠牲者はドイツ国民―その指導者ではない――とパレスチナ民族全体である。』

    — ロベール・フォーリソン教授博士

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