我が闘争(抄訳)
『我が闘争(抄訳)』の全文ロシアを許さず
ドイツ民族のための新しい土地―これを欧州本土に於て求めるとしたら、我々は当然ロシアとその所属辺境諸国を考えざるを得ない。
今日のロシアは、血腥い犯罪者によって充たされている。彼等は大戦中の悲劇的な好機に恵まれて、あの一大帝国を根こそぎ倒壊させ、幾百万と云う有能な知識人を殺戮し、更にまた幾百万の無辜の民を流血の惨事へ叩き込んだ悪鬼であり、比類なき暴政者であり、地上の屑である。その上に彼等は又世界一の大嘘吐でもあるのだ。
斯かるロシアが、何れかの国と同盟を結ぼうなどとの真面目な考えを抱いている筈は決してない。ましてやドイツに対して特に然りである。
ロシアのボルシェヴィズムは、ユダヤ人の世界制覇を象徴する見本のようなものである。彼等はドイツに対して、ただ如何にしてこの国を木端微塵に粉砕すべきであるかということだけしか考えてはいない。ドイツを叩き潰そうとする考えは、その方法こそ異なれ帝政ロシア時代も、今のソ連も少しも変ってはいないのである。世界大戦前に於てすら、私はこの危険を感じて、ロシアの脅威からドイツを救うためには、一切の行きがかりを捨てても、イギリスと同盟を結んで之に当たらなければ嘘だということを考えていた。
私はロシアの汎スラヴ主義が、対戦前ドイツに加えた我慢ならない恫喝を忘れることは出来ない。更にまたドイツを悩まさんとして彼らが行った嘗ての日の国境大動員を忘れない。尚更戦前にロシアの新聞がドイツに加えた悪罵と憎悪、フランスに与えた女郎のような媚態を忘れることは出来ないのである。
若し今日が戦前であったなれば、或は私は凡ての感情を抑えてもロシアに接近して行ったかも知れぬ。しかし今日では情勢は全然一変しているのだ。ロシアのドイツに対する態度は、最早断じて許してはならぬものなのである。