我が闘争(抄訳)
『我が闘争(抄訳)』の全文武器か人間か
ドイル国民の真の再興のためには、単なる武器以上のものがなければならぬことは、既に一九一八年に於てすら明らかな事実であった。ドイツは敗北し、崩壊に瀕した原因が、武器不足のためではなく自己保存への精神力を骨抜きにされていた結果であることは紛れもない事実である。
ドイツ人を復活させ、ドイツ国家を再興するには、どうしたら優秀なる武器を作り得るかの問題ではなく、如何にしてこの目的にふさわしい国民精神を培養するかの問題にかかっていることは申すまでもない。
幸ひにして望むところのこの国民精神が作り上げられた暁は、何れの場合、何れの処に於いても武器によって解決し得る幾多の方法を見出して進んで行くことが出来る。
人間は武器と結びつくものではない。先づ人間は人間と結びつかなければならない。
大衆は戦ふことが出来る。国民の実力を高めるために必要な産業労働に従ふことも出来れば、又それを拒否することも出来る。更に大衆はこれを支配することも出来る。この力を見逃してはならない新しいドイツを建設しやうと考へる前に、ドイツの国民的自由の理想のために、先づ何よりもこの大衆を味方に引入れることが肝要である。