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<質問12

なぜホロコースト修正主義は非合法なのですか?

 

<回答>

 アメリカ合衆国では、ホロコースト修正主義は、その他の平和的、学術的研究と同様に、合衆国憲法修正第1条で保護されています。修正主義的な見解を発言・執筆・出版することはまったく合法です。しかし、カナダ、オーストラリア、いくつかのヨーロッパ諸国に目を転じると、事態はまったく異なっています。

 オーストラリアとカナダでは、ユダヤ人共同体に不愉快な思いをさせることすべてが、いわゆる「人権委員会」によって訴追されます。この団体は司法制度と並立して存在しており、出版物の没収、罰金の支払い、「実行犯」の強制的謝罪を命じることができます。これらの委員会は正規の司法制度の一部ではないのですが、この委員会の命令にしたがわなければ、そのこと自体が、カナダとオーストラリアの司法制度による刑事告発を招くことになるのです。ホロコースト修正主義はユダヤ人自体について何かを述べているわけではないのですが、すべてのユダヤ人共同体は、ホロコースト修正主義によって中傷されていると感じています。ホロコースト修正主義は、ユダヤ人の中には、第二次大戦中の自分たちの経験について嘘を証言しているという結論に直接的、間接的に到達してしまうからです。ユダヤ人が決して嘘をつかず、歪曲せず、誇張しないただ一つの人間集団であるというのでしたら、それはそれで驚くべきことです。しかし、ユダヤ人の指導者たちは、ホロコーストについて嘘をついているユダヤ人が存在するかもしれないと主張することは、誰にも許されるべきではないと考えているのです。

 いくつかのヨーロッパ諸国では、ホロコースト修正主義は重大な犯罪とみなされています。ホロコースト修正主義の罪で、フランスでは1年まで、スイスでは3年まで、ドイツでは――イスラエルと同様に――5年まで投獄できます。オーストリアでは、10年までの禁固が可能となっています。

 しかし、法律環境全体を考察してみると、理論的にはホロコースト修正主義はこれらの国々でも完全に合法であると主張しなくてはなりません。これらの国々も、国連人権宣言に署名しており、署名国はこれらの人権を尊重しなくてはならないからです。言論の自由が制限されるのは、侮辱や犯罪行為を煽動している場合だけです。理論的には、学術研究と平和的な言論の自由を制限することはできません。ですから、「アウシュヴィッツの嘘の処罰」に関する最近のドイツの博士論文(Die Strafbarkeit des Auschwitz-Leugnens)も、ホロコースト修正主義自体を法的に抑圧することはできない、そのような抑圧は基本的人権を侵しているという結論に達しているのです。

 しかし、実際の面では、ヨーロッパの事情はまったく異なっています。冒頭の質問に対しては、「はい」と答えなくてはなりません。ホロコースト修正主義は、ヨーロッパの多くの国々で非合法となっているのです。1980年代中頃、とくに1995年以降、ホロコースト修正主義者は、口頭や文書で、ホロコースト正史に疑問を呈した罪で、巨額の罰金を科せられたり、投獄されたりしています。裁判所とメディアは一緒になって、屈服しない批判者と研究者を「アウシュヴィッツ否定派」とか「ホロコースト否定派」と懸命に中傷しています。

 ドイツでの迫害はもっとも大規模なものです。ドイツでの公的な抑圧の土台となっているのは、ドイツ刑法130条ですが、それは、国連人権宣言とドイツ基本法5条を侵犯しています。1303項のもとで、民族社会主義者の大量殺戮を否定した場合には、5年までの投獄で処罰され、「否定すること」は「虚偽を広めること」と定義されています。したがって、ドイツ刑法では、公式の歴史観が真実であると信用することが万人に求められていることになります。疑問を表明したり、反対の意見を表明したりすれば、それは犯罪目的をもって嘘をついているか、もしくは狂人であるとみなされることになるのです。また、ホロコースト正史に疑問を投げかけるような学術的証拠を裁判所に提出することも処罰の対象になります。このような法律をもつ世界とは、なんという素晴らしい新世界なのでしょうか。

 法律に違反しているのは、ホロコースト修正主義ではなく、ドイツの裁判所の手続きです。不幸なことに、裁判所は権力を持っています。オーストリアとスイスでも似たような状況です。フランスでは、執行猶予のつかない懲役刑が言い渡されたことがない点で、事態はこれほど悪くはありません。

 10年以上にわたって、ドイツ政府は、おもに修正主義者の著作を、繰り返し焚書処分にしてきました。さらに、毎年、10000名から15000名のドイツ人が、思想犯として訴追されています。この件については、ドイツにおける検閲の実態を調査した論文(censorship in Germany)を参照してください。

 状況はきわめて深刻です。ドイツ当局とメディアは、政治的中道派の右に位置するものすべて――古めかしい保守派や愛国主義者も含む――を、ひとまとめにして、「右翼」、「右翼急進派」、「右翼過激派」、「ネオナチ」と分類しています。ネオナチはメディアでは野蛮で不快な分子と扱われていますので、彼らを抑圧するのはやむをえないと考える人もいることでしょう。しかし、次のことを考えておかなくてはなりません。ネオナチはその異端的言論ゆえに訴追されるべきであるということに軽々しく賛成した人々は、もし自分が、国旗を掲揚したり国家を歌ったりして隣人に密告されて、ネオナチと中傷され、迫害されたとしても、文句を言うべきではありません。ドイツで起っている事態は、まさにこのようなことなのです。アメリカ合衆国では普通の愛国心を表明することはごく当たりまえのことなのですが、ドイツでは、政治的な傾向が左に傾いているために、同じような行為がネオナチとみなされているのです。従来の定説に反する思想家たちに対する迫害に抗議しなくてはなりません。迫害は独裁制に由来するというためばかりではなく、迫害は憲法にもとづく民主主義からの逸脱であるという意味からも、抗議しなくてはならないのです。

 

ホロコースト修正主義についてのQ&A

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『いわゆるヒトラー一派のガス室といわゆるユダヤ人の虐殺は、同一の歴史的嘘である。この嘘のおかげで、非常に大きな政治的・金銭的詐欺行為が容認され、そのおもな受益者はイスラエル国家と国際シオニズムであり、そのおもな犠牲者はドイツ国民―その指導者ではない――とパレスチナ民族全体である。』

— ロベール・フォーリソン教授博士

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1980年代のイスラエルの戦略 この記事は1982年2月『Kivunim、A Journal for Judaism and Zionism』の第14号、冬季5742にヘブライ語で掲載されたものである。

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